●学会設立15周年記念大会
開催日 2017年12月2日(土)~3日(日)
場 所 早稲田大学 国際会議場(東京都新宿区西早稲田1-20-14)
共通論題「いま、なぜ北ヨーロッパ研究か?~北欧モデルは今も有効なのか?」
趣旨
北ヨーロッパ学会が発足した2000年代初頭は北欧諸国はモデル国家として魅力を有していた。冷戦体制崩壊後の1990年代に自由主義・保守主義レジームと一線を画す社会民主主義レジーム国家として、研究者の関心を惹きつけ、研究が進んだ。学会が発足した背景にはこのようなことがあった。だが、2017年の北欧諸国を見ると、社会民主主義政党は後退し、福祉国家諸政策は伸び悩み、極右政党が台頭するなど、かつての輝きを失っているようにも見える。世界的には"post-truth"といわれるような、合理的思考が揺らぎ、北欧諸国もその潮流を担っている。他方、モデル国家という視点から離れて、地域研究として研究する姿勢も強まり、研究者の問題意識が拡散しているように見える。学会も創設の中心を担った世代が引退期に入っている。北欧諸国も、研究者の関心も、研究の担い手も転機を迎えているといってよい。このため共通論題では、現時において北ヨーロッパを研究する意義はどこにあるのか、を論議したい。
第1日目 (同時通訳あり)
10:00-10:10会長挨拶 横山悦生 開催校挨拶 福島淑彦
10:10-11:30共通論題1「いま、なぜ北ヨーロッパ研究か?」司会 横山悦生
菅沼隆、藤田菜々子、藪長千乃、神野直彦(各15分+5分質疑)
11:30-11:45 予定討論者 鈴木賢志
11:45-12:10 一般質疑
13:30-14:30 記念講演 Bo Rothstein, Nuffield College, Oxford Univ. "Is Trust on welfare states sustainable?"(「福祉国家への信頼は持続するか?」)
14:30-14:50 予定討論者 宮本太郎
14:50-15:15 一般質疑
15:30-16:00 記念シンポジウム基調報告「日本と北欧関係の過去・現在・未来」渡邉芳樹元スウェーデン大使
16:15-18:00在日北欧大使シンポジウム 司会 岡澤憲芙
18:30~懇親会
第2日目 (日本語のみ)
9:30-11:10 分科会
教室A「教育分科会―持続可能な社会のために求められる今後の教育とは」
コーディネーター 是永かな子
沼口博「北欧における教育から労働への移行支援-新しい徒弟制度(職場での訓練)による試み-」
澤野由紀子「北欧において今後求められる生涯教育」
青正澄「バルト海沿岸諸国における持続可能なゴール(SDGs)の実現に向けた教育」
教室B「自由論題1―デンマーク福祉国家における社会的包摂」
司会 吉武信彦 討論者 渡辺博明
倉知真太郎「多様な社会と北欧モデルは両立可能か?-デンマークの事例から」
加藤壮一郎「デンマーク・社会住宅地区における社会的包摂の試み~オーフス氏・ゲラップ地区を事例として」
一井崇「デンマークにおける障碍者雇用の現状と課題」
11:20-13:00 分科会
教室A「複合領域分科会―「北欧社会における『こども』」
司会 浅井亜希 討論者 石黒暢
上倉あゆ子「スウェーデンにおける舞台芸術と子どもの権利」
青木加奈子「デンマーク社会における流動するパートナー関係と子育ての実践-子どもの視点を通した”親”子関係-」
吉岡洋子「スウェーデンのNPOによる子どもの権利擁護-『子どもの声を聴く』ことを基盤としたソーシャルアクション-」
教室B「自由論題・北欧における国民・市民」
司会・討論者 鈴木賢志
田渕宗孝「グロントヴィと「国民(フォルク)」
鈴木京子「ノルウェー人の独立心とは」
北井万裕子「スウェーデンにおける社会関係資本と福祉国家の関係-社会関係資本論における社会中心論と制度中心論の再検討」
13:00-14:00 昼食(理事会)
14:00-14:30 総会
14:45-16:45 共通論題2「いま、なぜ北ヨーロッパ研究か?」 司会 鈴木賢志
報告者 斉藤弥生、阿部望、小川有美、秋朝礼恵、廣瀬真理子、岸田未来、計6名
参加費用 会員 無料 非会員一般2000円、院生・学生1000円